金融

なぜ信用売りは損なのか

こちらの記事で株式の保有と信用売りのリターンとリスクの違いについて説明したが、今回はなぜ信用売りが損なのかについて説明していく。

株式の保有と信用売り

株式の保有のリターンの期待値を年7%とし、リスクを1年あたりのボラティリティで20%とする。株式の保有のリターンの期待値としては、年7%の利回りであり、それだけ平均では利益を得られるということである。

では、この同じ株式を信用売りした時のリターンの期待値はどうなるだろうか。1年間株式を信用売りしているとこの株式の株価は期待値で7%上がっているのだから、株式の信用売りではリターンの期待値は年7%のマイナスになっているはずである。実際の取引では、さらに信用取引のコストがかかるので、リターンの期待値はさらに低くなる。株式の信用売りのリスクのほうは、ボラティリティとしては株式保有と同じ20%となるが、損失が無限に大きくなる可能性があるために株式保有よりも大きいと考えた方がいいだろう。

したがって、期待値で見た場合、株式の信用売りは株式の保有と違ってかなり損をするようになっている。

信用売りが不利な理由

株式の信用売りが「それ単体では」不利である理由は、株式の信用売りのリターンとボラティリティが株式の保有の逆として決まっているからである。

ここである人がある株式を保有していると同時にその株式を信用売りしている状況を考えてみよう。すると、株価が上昇すれば保有では利益が出る一方信用売りでは同じだけ損失がで、逆に株価が下がれば保有で損失が出るがその分信用売りで利益が出る。つまり、株式の保有と信用売りの両方を合わせると打ち消し合って、何も保有していないのと同じになる。

このように株式の信用売りは、株式の保有の反対なのでそれ自体では利回りの期待値がマイナスになってしまうのである。株式の信用売りをする人はこのことを理解しておいた方がいい。

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