金融データ

米国国債金利の推移

今回は、米国の国債金利の2000年9月から2025年9月までの推移を紹介しよう。米国国債金利の推移には、金利の動き方の基本が出ていて面白い。日本国債金利だと、長年の低金利と異次元緩和の結果短期金利は0%近辺に張り付き長期金利はその少し上にある状況が長く続いた。他方、米国では短期金利に0%から6%強までの動きが見れた。

上の図を見てみると気づくこととして、2000年から2020年までは短期金利が急激に変化する一方で長期金利はそれよりもずっと緩やかにしか変化していないことだ。このような金利変化は、市場が長期的には金利の随順は安定しているが好不況によって短期の金利が変わるだろうと予想している時の基本的な動きである。

例えば、1年満期などの金利であれば現在の政策金利に合わせて柔軟に変更するのが合理的であるが、30年満期の債券の金利を政策金利に合わせて変えるのは理にかなっていない。政策金利は数年で変わるだろうからである。だから、米国国債金利では長期及び超長期の金利は比較的に安定している一方で短期金利が激しく動くという状況が観察されることになる。

しかしながら、2020年のコロナ禍で状況が一変した。コロナ禍初期において短期金利だけでなく長期金利も急落したのである。これは、その時の市場心理としては正しかったのかもしれないが、長期的な長期国債金利の動きとしては過剰反応で後々問題を引き起こすことになった。このことは、2022年以降の急激な金利上昇、特に短期金利だけでなく超長期金利を含んだ金利上昇に現れている。

このように、過去25年間を見るだけでも米国の国債金利は市場の適切な動きと過剰反応の両方を見てれ面白いなと思った。

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