最近信用売りについて調べてて気づいたんだけど、株式の信用売りは株式の保有の逆と考えることができないくらい違う。信用売りというのは、株式を貸株などで借りてきて今の時点で売って、将来のある時点で買い戻して株を返す取引だ。通常、ある株式が値下がりするという自信がある時にやる取引形態だ。
一見信用売りは単純に株式保有の反対のような気もするがかなり大きな違いがある。
株式保有のリスクとリターン
リターン
一般的に株式のリターンの期待値は無リスク利子率にリスクプレミアムを足したものである。無リスク利子率にはインフレ率を含む。リスクプレミアムというのは、株式のような価格変動リスクのある資産に対して投資家が要求する余分のリターンのことである。
リスク
株価は歴史的な平均で見ると、1年で標準偏差で見て20%くらい変動する。10年に一度くらいの確率で株価が30%以上値下がりするくらいの感じである。10年間保有すると10回に2回くらいで10年後に元本を割り込んだままであるくらいである。人によって感じ方は様々だろうがそこそこのリスクと言っていいだろう。
信用売りのリスクとリターン
リターン
信用売りのリターンは、株式のリターンの逆の分マイナスで、そこにさらに貸株料などのコストが発生する。例えば、株式の平均リターンが7%で貸株料を含む平均コストが2%なら平均のリターンはマイナス9%になる。
リスク
リスクは株式保有の逆が同じくらいであるように思えるが、一つ大きな違いがある。株式保有の場合には、損失額の最大は株価がゼロになることである。それに対して、信用売りの場合には無制限に損失が膨らむ可能性がある。そのため、信用売りのリスクは株式保有よりも大きいと言えるだろう。
株式保有と信用売りの比較
株式保有のリターンが「期待値」でプラスなのに対して、信用売りは「期待値」でマイナスである。その上、リスクに関しても信用売りは株式保有よりも不利である。このように、信用売りは株式保有よりも本質的にかなり不利な投資であることが分かる。それでも使い道はあるのだがそれはまた別の記事で解説しよう。