金融

金利の決まり方

金利にはいろいろな種類があって分かりにくい面があるので、ここにまとめてみた。

短期金利と長期金利

金利の種類として、まず短期金利と長期金利がある。

短期金利

短期金利というのは、通常1年未満の短期間の貸出や債券の金利のことである。つまり、期間が短い金利である。短期金利の水準は、主に政府の設定する政策金利などの影響を受け決まっている。日本の場合は、日銀の無担保コール翌日物金利誘導目標が中心となって短期金利が決まっている。

長期金利

長期金利というのは、1年以上の期間の貸出や債券に適用される金利のことである。つまり、期間が長い金利である。長期金利は、その期間が長期に渡るため、現在の金利水準だけから決まらない。将来のインフレ率の予想やリスクプレミアムの変化の予想に基づいた、市場関係者の金利水準の予想によって長期金利は決まる。

タームプレミアム

多くの場合、ある一定期間の債券の長期金利の利回りは、その期間に渡る短期金利の平均よりも高い。この長期金利から短期金利の平均を引いたものを、タームプレミアムという。タームプレミアムが存在するのは、債券を発行するとき金利が長期に渡って固定されることに対して、債券の買い手が金利変動のリスクの対価としてより高い金利水準を要求するからである。

二つの長期金利のタイプ

長期の債券の金利には主に二つの種類がある。固定金利と変動金利である。個人向け国債でも、3年満期と5年満期は固定金利として、10年満期は変動金利として発売されている。この二つの金利のタイプがどのように違うのかについて説明する。

固定金利

固定金利というのは、5年や10年といった債券の発行期間の間、金利が一定に固定されているということである。例えば、年利3%の固定金利の5年満期の債券だと、1年目から5年目まで毎年元本の3%の利子が債券の保有者に支払われ、5年後満期を迎えた時に元本が償還される。このように、固定金利の債券では予め決められた利率に基づいて毎年の利子が計算される。

変動金利

変動金利というのは、債券の残存期間の間の金利が予め固定されておらず、その時々に何らかの計算式に基づいて決められる方式である。例えば、指標となる短期金利に1%のプレミアムを付けて毎年の利子が決まる5年満期の債券を考えてみよう。

1年目の利子の支払いの時点の短期金利の値に1%を足して一年目の利率が決められ利子が決まる。2年目の利子は2年目の利子の支払い時点の短期金利の値に1%を足して利率が決められる。3年目から5年目も同じようにしてそれぞれ違う利回りが、それぞれの利子の支払い時点の短期金利によって決められる。そして、5年後の満期に元本が償還される。

変動金利の利子率の決め方には他のタイプも存在する。例えば、10年変動の個人向け国債の利回りは、利払い時点の10年満期の国債の利回りに0.66を掛けることによって決められている。短期金利にスプレッドを加える方式の債券として、LIBORやTIBORに一定のスプレッドを加えたものを利息として支払う債権が存在する。

金利の決まり方

固定金利の決まり方

債券の固定金利は、発行者と購入者の間での交渉や、入札などによってどれくらいの利回りになるかが決定される。債券の需要が高い時には、より低めの利回りで決着し、債券の需要が低下している時にはより高い利回りが債券を発行するのに必要となる。

変動金利の決まり方

変動金利は、基準に対してどれだけ上乗せするかという形で決められることが多い。この上乗せをスプレッドという。例えば、先ほどの短期金利に一定の率を上乗せして利率を決める債券では、1%の部分がスプレッドにあたる。債券の需要が大きい時にはスプレッドが小さくなり、逆に債券の需要が少ない時にはより大きなスプレッドが求められる。

固定金利と変動金利の関係

基本

様々な種類の金利も、他の商品と同じように市場の需給関係によって価格(金利)が決まってくる。金利には、1ヶ月・1年・10年・30年といった満期の長さの違いと共に、固定金利・変動金利といった金利方式の違いがある。固定金利と変動金利は、別のもののようにも思えるが、もし一方の金利方式が他方よりも一方的に借り手や貸し手有利であるならば、需給がかみ合わず、金利水準が修正されるはずである。これら複数の種類の金利が市場の資金を競って取り合いそれぞれの金利水準が決まっていく。

ここでは、同じ満期の変動金利と固定金利との関係について主に述べる。

固定金利と変動金利の負担を同じくらいになるという関係

同じ満期の固定金利と変動金利があった時、もし片方の方式の金利負担の予想が少なければ、借り手はそちらの方式をより選ぶようになるだろう。そのため、基本的にはこの二つの方式の将来の金利負担の予想は同じくらいである必要がある。

例えば、変動金利の金利負担の予想が今後10年ずっと1%だとすると、固定金利の利率は年1%が妥当である。それに対して、変動金利が現在0.5%であるが10年後には1.5%に上昇するとすると、現在の0.5%ではなく今後10年の平均である1%くらいが固定金利の利率として適当である。このように、固定金利の利率は大体それぞれの債券の期間の間の変動金利の金利負担の平均に近い形で決まる必要がある。

タームプレミアム

上では、固定金利と変動金利では全期間の金利負担の合計は同じくらいになる必要があると述べた。しかし、厳密にはタームプレミアムがあるために固定金利の方が金利負担が軽いことが多い。

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